二輪ジャーナリストの後藤 武 氏といえば、オートバイ業界では言わずと知れた実践派の重鎮。おまけに陸・海・空すべてが遊びのフィールドと豪語してはばからないノリモノ遊びのプロでもある。そんなゴトー氏、どうも最近は自転車移動がアツいらしい。もちろんそんな面白い話を『GOGO-GAGA!』が放っておくわけがない。半ば強制的に自転車を手渡し「ゴトータケシ流」のサイクルライフをレポートしてもらうことにした。
俺のロングテールバイクが完成!
我がロングテールバイク「エンヴォイ」。ついにカスタム終了である。ペイントされ、見違えるほど美しくなって戻ってきた。しかも「ホイールとタイヤ、ハンドルも変わっていますから」とサトー編集長。
ゆくゆくはパーツ交換にもトライしてみたいと思っていたのだが、まさか預けている間に変わってくるとは思わなんだ。さすが、出来るオトコは違う。まるで童話に出てくる靴屋の小人のよう。もしかして大変な仕事も佐藤家の玄関に置いておいたら、勝手にやっておいてくれるかもしれん。
交換したパーツは次の通り。①DTスイスのダウンヒルバイク用高性能アルミリム「FR560」。軽くて丈夫だ。②前後ハブはシマノ「デオーレ」を採用。MTB用のエントリーグレードだが、標準装備のハブに比べると格段にスムーズに回る。③クラシックなルックスの「オーリーグリップ」。ボルトで固定するタイプなのでずれない。④BMXタイヤの定番タイオガ「FS100」。純正タイヤより少し細めの26×2.1サイズをチョイス。⑤リッチーのアドベンチャーライド用ハンドルバー「コンプコヨーテ」。バッグなどのアクセサリーを付けやすい形状なので発展性がある。
モテまくることを確信
試しカタムしたエンボイをシルバラードの隣に並べてみると実に良い感じ。若い女の子達がいたら「カワイー」と騒がれること確実である。オシャレなキャンプイベントに持っていっても人気になりそうだ。何しろクルマと自転車をコーディネートしているのはウチくらいのもの。
サトー編集長のチョイスしたホイール・タイヤもヘビーデューティーだけどゴージャス。シルバラードのメソッド✕グッドイヤーの感じが良く出ている。
ゴトーのシルバラードには荷台に自転車用のクイックリリースが4台分ついているから、しっかりと自転車を固定することが出来る。ただ、この積み方をしてしまうとシルバラードカラーのエンヴォイは保護色のように溶け込んでしまって目立たないのが寂しい。自転車がもう少し目立つ搭載方法を考えねばならん。
せっかく自転車が出来たのだから走らせてみたい。つーことで今回は自宅からの通勤に使ってみることにした。
実はゴトー、墨田区の古民家を住居兼事務所、ガレージとして使い、茨城の家でも生活している。今流行りのデュアラーである。茨城から墨田までは約40km。シェイクダウンにはちょうど良かろう。
軽い走行感にゴトー感激!
「軽量なホイールやハブ、タイヤで走りが断然軽くなりますよ」と佐藤編集長に言われた時、心のなかで「そーなの?」と思った。
乗り物の速さは物理の法則によって総重量とパワーで決まってしまう。空気抵抗やフリクションといった要素も加味されるが、いくら回転部品とはいえ、多少軽くなったところで、そんなに大きく変わるわけねーだろ、って思っていたのである。
しかし大違いだった。元々人間が発揮できるパワーなんてたかが知れている。それを活かすのであれば、回転部品の軽量化は重要だ。自転車ってヤツは回転マスの小さくなったことを体全体で感じるからペダルを漕いでいるときの気分が違う。「なるほど、これかあ」と言いながら茨城の道を走る。
昔、RZ350でレースをしていた時、フライホイールと点火系を小さくしたらレスポンスが良くなったしクランクの負担も減って壊れなくなった。
「あの時のエンジンって、これくらい気持ちよく回っていたんだろうなあ」
自転車漕ぎながらエンジンチューニングに思いを馳せるゴトーであった。
ロングホイールベースだしタイヤも太いので多少のダートはまったく問題なし。ただしバックがゴムのベルトで固定されている為、ギャップではバックが踊りまくる。
改めて知る自転車の面白さ
自転車移動でグーグルナビを使う時は歩行者の設定にしておく。クルマだったら絶対通らないような細い路地や商店街を走るのがとても楽しい。時々「これは無理だろ」っていうような無茶なルートを表示したりするが、それもまた一興である。
路地には渋い店も多いから、面白そうな店を見つけたら躊躇なく飛び込む。自転車でしかできない移動スタイルである。しかもENVOYなら買い物をしてもバックに色々と放り込むことが出来る。寄り道が楽しくなる自転車なのである。
松戸市の裏道は昭和な香りが漂ってくる。つい色々な路地に入って渋い店を発掘したくなってしまう
ちょうど松戸でイチゴ農家の露天販売が始まったというのでここにも寄り道してやるか、と探してみたが、これは残念なことに営業時間外だった。
暖かくなったら釣り竿をかついで海岸沿いを走ってみよう。房総半島あたり道も狭いし、クルマの駐車スペースがない釣り場も多いから大活躍することだろう。
著者プロフィール
後藤 武(ごとう・たけし)
航空機雑誌『シュナイダー』や二輪専門誌『 CLUBMAN』(いずれもネコ・パブリッシング)の編集長を経てフリーの編集ライターに。オートバイ、クルマ(主に4WD車、アメリカ車)、航空機等、乗り物記事を多く手掛ける。『2ストロークマガジン』(ネコ・パブリッシング社発行)編集長を務める傍ら、『DAYTONA』誌(ネコ・パブリッシング) や『MOTONAVI』誌等のメディアで連載企画も展開している。若者向けWEBメディア『MotoBe』、『CarBe』アドバイザー。レッドブルエアレースのTV放送の解説など 。
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