二輪ジャーナリストの後藤 武 氏といえば、オートバイ業界では言わずと知れた実践派の重鎮。おまけに陸・海・空すべてが遊びのフィールドと豪語してはばからないノリモノ遊びのプロでもある。そんなゴトー氏、どうも最近は自転車移動がアツいらしい。もちろんそんな面白い話を『GOGO-GAGA!』が放っておくわけがない。半ば強制的に自転車を手渡し「ゴトータケシ流」のサイクルライフをレポートしてもらうことにした。
エンヴォイ改造計画は
フレームのペイントから
我がウナギ号、現在分解中である。オンリーワンなカスタムバイクにするためだ。じつは当初よりマングース・エンヴォイをゴトーが乗っているピックアップトラック「シボレー・シルバラード」みたいにフルカスタムしようという魂胆だったのである。
こちらがゴトーの愛車、シボレー・シルバラード。荷台やフロントグリルなどには防護塗料「LINE-X」を施工してある。
正直なところカスタムはうなぎ釣りのシーズンが終わってからにしたいと思っていたのだが、魚釣りをしない佐藤編集長は「カスタムが終わってから釣り行ってください」と冷淡だ。
これは仕事人間としては正しいが、釣人としては失格である。魚は人間の都合に合わせてくれないからだ。
ウナギがもっとも活性が高くなるのは7月から8月中旬くらいまで。この時期にカスタムしていたら一番美味しい時期を逃してしまう。本来なら「カスタムは8月末日までやらん!」と強硬に反対するところだが、今年はすでに充分な数のウナギを釣っているので大人しく従った。
ウナギ号はデビュー戦から大活躍。すでに「ロングテールバイクは釣れる」と都内のウナギ釣師達に多大な影響を与えていた。
ちなみに今年、ウナギ釣りはちょっとしたブームになっていて、某釣り雑誌も今月はウナギ釣り特集をしている。
次回またウナギ釣り特集をする時は、是非ゴトーにロングテールバイクによるウナギ釣りの記事を書かせていただきたいものである。
強くて美しいペイントを求めて
いざカドワキコーティングへ
エンヴォイのカスタムは佐藤編集長の独断により、まずフレームのペイントを行うことになった。たんに部品を交換するだけではカスタムにあらず!という事らしい。
とはいえゴトーの荒っぽい使い方だと並みのペイントではすぐに剥がれてしまう。そこでモーターサイクルのカスタムペイントでもお馴染みのカドワキコーティングに依頼することにした。
ここはパウダーコーティング(紛体塗装)の可能性を追求し続けている会社である。
カドワキコーティングの広報ご担当、堀内さんと工場長、吉岡さんと打ち合わせ。パウダーコーティングがメッチャ進化していることに驚く。カラーも豊富だし、色々な技法が使えるようになっていた。
粉体塗装というのは帯電させた粉状の塗料に吹き付けて静電気の力で被塗物に付着させる塗装方法のこと。
乾燥は専用のオーブンで焼いて塗料を硬化させる。一般的なウレタン塗料を使った塗装に比べると塗膜が強くて美しいのが特徴だ。
ただ実を言うとゴトー、パウダーコーティングはその特性上、単色で地味……みたいなイメージを持っていた。
ゴトーが古いモーターサイクルをレストアする際も、パウダーコーティングは外装ではなく、フレームに行っていた。エンヴォイのフレームもうちにあるZ1やマッハのフレームみたいく地味な黒一色なってしまうんじゃないかと一抹の不安があった。
ところが、実際にカドワキコーティングで色のサンプルやこれまでの施工例を見せていただいて驚いた。
艶やかなのである。
キャンディーみたいな色もあるし、器用に塗り分けだってやっている。それどこかマーブルのような複雑なパターンまである。
聞くところによれば自転車のカスタムペイントの依頼も多いらしく、どれも美しい。いやー、知らないうちにパウダーコート、メッチャお洒落になっている。
高校の時、地味な女の子が、同窓会で久しぶりに会ったら眩しいくらい美しくなっていたことがあった。そんな青春の日を思い出してしまったのであった。
カドワキコーティングのカラーチャートはドイツの工業規格である「RAL」に準じている。パウダーコートはウレタン塗料をはじめとする溶剤系塗料のように簡単に調色は出来ないが、ソリッドカラーだけでも全188色が選べる。美しいだけでなく塗膜が強靭で耐薬品性、耐久性に優れている。通常のペイントに比べて傷つきにくい為、衝撃を受けたときに母材がダメージを受けにくいなど、様々なメリットがある。
打ち合わせの結果、フレームはレッドとブラックの塗り分けることになった。
まさしくシルバラードカラー。
それを聞いたウナギ釣り仲間からは「せっかくフレームもウナギ色だったのに塗り変えるの?」と言われたが、そろそろ自転車でのウナギシーズンも終わり。これからはSUPや回遊魚釣りなど、別な遊び方が控えている。ウナギ号もそれに合わせて艶やかに変身しなければならないのである。
次回の記事では作業の様子をレポートしよう。
これは佐藤編集長が描いたイメージスケッチ。単純な塗り分けだとスペシャル感が少ないので赤から黒へのグラデーションにする予定。
シルバラードの黒い部分はLINE Xという強靭な塗料でコーティングされている。これをパウダーコーティングで表現できないか相談したところ「こんなのがありますよ」と出てきたのがコレ。表面に凹凸が出来ている。通常のコーティングに工程を加えることでさらに変化のある仕上がりも可能だとか。
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