そうだ、子乗せ自転車で旅しよう。

楽しい子乗せ自転車で

送迎したって良いじゃない


リモートワークが盛んな昨今、お子さんを保育園や幼稚園へ送迎しているパパも多いんじゃないでしょうか。そうした際に欠かせない乗り物が子乗せ自転車であります。実際、使いやすいですからね。電動アシスト付きのモデルなら、子ども2人乗せて坂道を登ってもまったく屁でもない。そら売れますよ。


ただ、あくまで実用車なので、それでどこか遊びに出かけようという気にはさせてくれないのが難点。これはルックスだけのハナシではなく、乗り味もそう。超安定志向に設計された重た~い車体を電動モーターのパワーを借りて何とか動かす、そういうもっさりしたフィーリングですからね。すべてがダイレクトでヒラヒラ自由に駆けられる自転車本来の魅力がかなりスポイルされているのです。


もちろん、子どもを安全かつ快適に送迎するという用途に最適化した結果なので、それはそれで正しいのですが、私のように自転車を「趣味」にしている人間はどうしても欲張ってしまうのです。子どもを乗せて楽しく走れる自転車はないのか、と。

私は長男が生まれた6年前にこんな自転車を製作しました。アメリカ「マリンバイクス」のミュアウッズSEというモデルにベビーシートとフロントラック、ちょっと太めのタイヤ、センタースタンド、プロナードハンドルを装着した子乗せ仕様のクロスバイク。


圧倒的に軽くてホイールベースも短いので走りはじつに軽快。8段ギアが付いているので坂道もゆっくり登れば、よほどの急坂でなければ問題なし。

ベビーシートを外せば(簡単に外せる)、普通のスポーツサイクルとしても使えるのも良かったですね。自転車と部品ひっくるめて8万円ぐらいだったかな。電アシ付き子乗せ自転車よりもかなりお安く済みました。


少し話それますが、いわゆるママチャリしか乗ったことがない人は変速ギアの使い方をちゃんと理解しないまま、とにかく坂道は電動アシストがないとダメと思い込んでしまっていることが多いんです。

簡単に説明すると、変速ギアって脚に負担をかけないために付いてるものなんです。

登り坂になったら、脚に力を入れなくてもペダルが回る軽いギアを選択し、ゆっくりと登ってください。クロスバイクなんかだと最初からかなり軽いギアが用意されているので、こうやって登れば大抵の坂道は息をハアハア切らすことなくクリアできますよ。


とまあ、中々気に入っていた子乗せクロスバイクですが、運用面で色々と不便だったのは否めません。汎用のセンタースタンドは安定性が低いので、車体を身体で支えていないと子どもが乗せられない。兼用している妻からの評判はあまり芳しくなかったです…汗

良い「子乗せ自転車」とは

冒険したくなる自転車と見つけたり


そこで2020年より私の子乗せ自転車がバージョンアップ。日本全国に展開するサイクルベースあさひのオリジナルモデル「88サイクル」をベースにしたものになりました。


これは名前の通り88(パパ)が使うことをイメージしたもので、ダックスフントのような長~い車体とゴツいリアキャリアが特徴です。これは重い荷物や子どもを載せてもしっかり安定して走るよう設計されたもの。GOGO-GAGA!で現在カスタム企画を進行中のマングース・エンヴォイと同じ「ロングテールバイク」というカテゴリーになりますが、その中では比較的全長が短め。街中でも苦労なく取り回すことができます。


何より重機みたいな無骨なルックスに魅かれましたね。例えるならルーフテントやらキャリアを付け、マッドタイヤを履かせた四駆。ま、それを動かすのは私の貧しい脚なんですが(笑)。それはともかく、遊び心をビンビン刺激してくれる。

走っても見た目よりもずっと軽快で気持ちいいですよ。自転車における「気持ちいい」走りというのは、ペダルを漕いだ力がロスなく推進力に変換されていることを意味します。もちろんロードバイクやクロスバイクみたいなハイペースで走ることはできませんが、格安ママチャリにあるような、漕いでも漕いでもフレームや車輪が剛性不足でよじれて思うように進まない、といった徒労感がない訳です。

タイヤは前が24インチで後ろが20インチ。後輪の径が小さいのは、なるべく荷物の搭載位置を下げて重心を低くするためですね。ちなみに後輪は幅4インチというファットバイクと同じ極太サイズです。フロントタイヤが細いのは前輪を差し込むタイプの駐輪場に止めれるよう配慮されているのだと思います。
チャイルドシートは「ハマックス・ゼニス」を装着。国産メーカーのものに比べてシンプルな形状で、工具を使わずに着脱できるのが素晴らしい。88サイクルのフレームやフロントフォークにはボルト穴が複数空いていて様々なアクセサリーが装着可能。私はそこにキャリアを装着してヘリノックスのチェアとグランドシートを固定してます。


さすがに車重があるので登り坂は超スローペースで走らざるを得ないのですが、仕事に育児に忙殺されて運動不足の私にとってはむしろ望むところ。後ろに子どもを乗せていると大汗かいて坂道を上るのもそんなに悪い気分じゃないからあら不思議。「パパの背中を見なさい!」なんてね。

88サイクルは車体のあちこちにアクセサリーを取り付けるためのボルト穴が空いているので、そこを活用すれば積載量をさらに拡大できます。もともと重量物を積むことを想定した自転車なので、子ども一人にソロキャン装備を積んでもビクともせず、まったくフツーに走れちゃう。

これでもトータルの金額は電動アシスト付き子乗せ自転車よりも安いぐらい(10万円ちょっと)。まあ絶対的な金額としては高価に違いないですが、多用途に活躍する乗り物ってことを考えれば案外リーズナブルじゃないでしょうか。

で、私さっそく子どもを乗せて1泊2日の自転車旅行に出かけてきました。

自宅から片道20㎞程度を走って横浜中華街のホテルに泊まって帰ってきただけなのですが、これがじつに面白い。クルマでは何のドラマも発生しないような近距離ですが、自転車、しかも親子だと立派なチャレンジ・旅・冒険になるんですわ。

身近にある乗り物でもちょっと視点を変えればまったく新しい世界が広がる、私がこのWEBサイトを通じて皆様に訴えたいことは要するにそれなのです。

(文・写真/佐藤旅宇)


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