エンスー入門車としての旧式ジムニー(第4回)

災い転じて馬力アップ。新品ピストンでエンジン復活!


縁あって入手したものの、いきなりピストン焼き付きの憂き目にあってしまった我がSJ10。

まったくどこがエンスー入門車だっつーの……

 気分を切り替え修理してくれそうなところをネットで探すと静岡にある「ファイターエンジニアリング」というショップがヒット。ここはK6AやF6Aといったスズキの軽自動車用エンジンをメインに扱っているショップさんだが、現在でもオリジナルのオーバーサイズピストンを使ってLJ50のリビルトエンジンを製作しているという。我が家からは約5万円の往復陸送代がかかるが、この際しっかり仕上げてもらうことにした。 

「丈夫なイメージのあるジムニーだけど、SJ10の2ストエンジンは結構デリケートなんですよ。たぶんオーバーフローを修理した際にキャブのフロートレベル(油面)を低く調整しすぎたんじゃないかな。焼き付きって言うとオイル切れを疑いがちだけど、燃料を薄くセッティングしすぎて焼き付くケースも多いんです。キャブをいじるときはフロート室のスラッジやゴミなどを除去し、油面と一緒にジェット類も調整しないとトラブルになりやすい。オイルポンプが不良の可能性もあるけど、ここはそんなには壊れないね」

 ファイターエンジニアリング代表の小林さんはいかにも職人っぽい風貌だが、私のような素人に丁寧に説明してくれる素晴らしい方だった。

「とりあえずキャブのオーバーホールとシリンダーのボーリング、オーバーサイズピストンを入れるだけで直るんじゃない。オーバーサイズピストンは0.5㎜、1.0 ㎜、1.5㎜、2.0㎜があるけど、どれにする?」

 ボアが大きくなるほどパワーは出るが、一般的なのは1.0㎜とのことだったので、それで組んでもらうことに。ついでにヘッドも1㎜面研して圧縮比をアップ。さらにアピオがラインナップしている(エライ!)「松本式チャンバー&マフラー 2」も装着してもらうことにした。 あと 購入時から左右ドアのガラスモールが劣化しまくっていたのでこれも交換してもらう(まだ部品が出るのだ)。
しっかりセッティングが決まればハイオクガソリンで実測30馬力ぐらい出るんじゃないの、と小林さん。市販車でも500馬力600馬力なんて怪物がゴロゴロしている昨今と比べるとじつに穏やかな世界である。


数週間後、作業を終えたSJ10がローダーで我が家まで運ばれてきた。 
早速、走ってみると全域でトルクがアップしたことに加えて、上までバンバン回るむちゃくちゃ気持ちいいエンジンに変貌していた。1速がすぐにふけ切ってしまうので、平地では2速発進の方がいいぐらい。 
「メインジェットを128番から160番に変更したので、噴射量が増えてトルクが出るようになっています。エアージェットも110番から160番にしたので4000回転から上の回転域でよく伸びますよ。試運転時は時速80キロまで楽々出ました。もし寒い時期に時速80~90キロで連続走行するようなら、メインジェットを190番に変更してください」(小林さん)

 ステンレス製のチャンバー&マフラーに替えたことでノーマルのポロポロと可愛らしい排気音もカンカンと乾いた音質に。車検対応品なので音量は小さいものの、加速時はF1みたいな勇ましいエグゾーストノートを奏でるという理想的なパターンだ。

さて 気になる金額ですが、パーツ代(新品ピストン&リング3個、プラグ、プラグコード、ウォーターポンプ等 ※チャンバー&マフラーは除く)、作業工賃をすべてひっくるめて約20万円以下。

これってSJ10が5万10万で売り買いされていた当時を知る人にとっては高価に感じると思うのですが、個人的にはめちゃくちゃお値打ち。だって40年前のクルマのエンジン腰上をほぼオーバホールしてこの価格ですもん。おまけにちょっと走らせるだけで思わず笑みがこぼれるこの痛快さと写真写りの良さ。


SJ10の中古相場は大体50万円ぐらいから。購入後、私のようにプロにお任せしてしっかりエンジン仕上げても計70万円ぐらいで済むってことです。もちろんその後はエンジン回りのトラブルは一切発生しておらず、日々の買い物でもガンガン使ってますよ。

(文・写真/佐藤旅宇)

GoGo-GaGa!

乗って、走って、遊んで、考える―――自由な乗り物を愛する大人のためのWEBメディア