俺のヤングマシン図鑑!【原付スポーツスクーター編】

1980年代から2000年代にかけて、若者たちに絶大な支持を受けたモデルを筆者の体験を交えつつ紹介。元気で、ルックスがキマっていて、ノリが良くて、ハッタリが効いて、できれば安くて……時代を彩った“ヤングマシン”は若者たちを映す鏡でもあった。

 (『MOTO NAVI』2017年10月号に掲載されたものをWEB用に加筆・修正)


Part.1「50㏄スポーツスクーター」編

 元気いっぱいの運動性能とハッタリの効いた名前にときめいたあの日、あの頃……



原チャリだからってナメるなよ!

2スト時代の50㏄スクーターには軽便な移動手段以上の何か……つまりは若者、というか高校生が「愛」を注ぐ対象でもありました。その理由のひとつはまず名前ですよ、名前。R、RS、ZZ、SR、ZX、ZR……スポーツモデルの車名の最後に付く物々しいアルファベット、コレね。この改造車感が若者特有の反骨心を刺激しまくる。これは大きなオートバイにはない原チャリ特有の魅力。クルマでも、あの頃の若いもんはロータス・エランやユーノス・ロードスターみたいなピュアスポーツカーより、ハコ車にスポイラーやらオーバーフェンダーやらをくっつけて無理くりスポーツカーに仕立てたやつに魅かれたじゃないですか。それとまったく同じ力学がこのスポーツ原付スクーターには働いていた訳です。

そもそもガキンチョって何の制限のない状態よりも「縛り」があった方が盲目的にアツくなる傾向がありません? 大人によって敷かれたレールをどれだけ逸脱したかで自己表現するというね。まあガキっぽいといえばいかにもガキっぽいんですが、ワタシもアナタもきっとそうでしたよ、ね。 一世を風靡した校則違反の変形学生服、いわゆる短ラン、ボンタンなんてのもまさにそれです。だって私服で学校来んのがどう考えても一番のワルなんですから。えーと何のハナシでしたっけ。ああ原チャリだ、原チャリ。

元来はお母さん達が日々便利に買い物に使えるよう作られた原チャリのスポーツモデル、この矛盾した存在はいわばバイクの変形学生制服みたいなもんです。当然、あいつのボンタンはハイウエが何センチだ、ワタリが何センチだ、スリータックでイカつい、裏地には昇り龍が入っていてヤバい、そういう勝負になってどんどんエスカレートしていく。これらのスクーターはハッタリだけではなく実際速かったですからね。僕が実際に所有したのは初代スズキ・セピアZZ(7馬力)とヤマハ・ジョグアプリオ タイプⅡ(7.2馬力)でしたが、後者はCDI交換して駆動系を高速寄りにセッティングしただけで80㎞/hぐらい出たことを覚えております(下はメロメロでしたけど……)。



ホンダ・ライブDIO ZX(1994年~)

ディオ、スーパーディオに続く3代目として登場したのがこの「ライブディオ」。ZX(ジーエックス)はそのスポーツモデルにあたり、ハイマウント・ストップランプを内蔵したリアスポイラーやクラストップレベルの出力を発揮する強制空冷2ストエンジン、90/90-10サイズのワイド偏平タイヤが特徴だった。後に油圧式フロントサスペンションやアルミダイキャスト製の前後ホイールも採用された。

ヤマハ・スーパーJOG ZR(1994年~)

4代目JOGの最強・最速モデルがこちら。例のごとくハイマウント付きのリアスポイラーが標準装備されていたほか、フロントカウルには「三つ目がとおる」みたいなポジションランプが内蔵されていた。リザーブタンク付きガスショックやブレンボ製キャリパーなど、(分かりやすい)豪華装備はバイク雑誌を読み込んでサカリのついた小僧を誘惑するのに抜群の威力を発揮した。


スズキ Hi up R(1989年~)

いろいろな意味でぶっ飛んでいたHiと、そのスポーツバージョンだったHi Rの実質的な後継モデル。見た目はだいぶおとなしくなった(普通になった)印象だが、当時最強の7馬力を叩きだすハイパワーエンジンにチャンバータイプのマフラー、フロントディスクブレーキを採用するなど中身はなかなかホット。カタログのキャッチコピーは心が汚れた大人には別の意味にも読み取れる「速くてゴメン。」。

ヤマハ・チャンプRS(1987年~)

チャンプはもともとJOGのスポーツバージョンという位置付けだったが、後にスポーツ度をさらに高めたチャンプ・スペシャルが登場。そこからさらに進化したのがこのRSという、まるで後期のドラゴンボールのような戦闘力のインフレっぷりに当時の空気を強く感じる。限定販売されたこのTech21をはじめ、マールボロやゴロワーズなどのワークスカラー仕様が多数ラインナップされた。


(文/佐藤旅宇)


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