スーパーカブで目指すところ『オープン・ロード』コイツは、今日も遅い。アクセルを目いっぱい回しても、軽トラックに抜かれ、原付スクーターにあおられる。一速から二速、そして三速。非力なエンジンが唸るたび、足裏に振動が伝わってくる。その、どうしようもない非力さが、ドロップアウトを決め込んだ今日の自分に心地よかった。朝から30℃を超える空気が、アスファルトの上で揺らめいている。Tシャツの背中はすでに汗でぐっしょりだ。橙色のジェットヘルメットの中は蒸し風呂みたいで、額を伝う汗が目にしみる。なぜこんな日に、わざわざ江の島なんか目指してるのか。自分でも理由はよくわからない。俺は暗示でもかけられたかのようにアクセルを回す。とにかく、どこかへ。どこかってどこだ?そんなこと知るもんか。「コイツ」って...30Jun2025MOTO佐藤旅宇
YAMAHA『55mph』がくれたもの もう10年も前の話になりますが、以前、私はヤマハ発動機の「Web 55mph」というサイトで編集長兼メインライターをしておりました。私より年上のベテランライダーの方はよくご存じでしょうが、「55mph」というのは、ヤマハ発動機が過去に発行していたバイクライフをテーマにした小冊子のことです。私は当時を知らない世代なのですが、『サイクルワールド』などを発行していたCBSソニー出版が制作を請け負っていたのかな? とにかく誌面デザインやビジュアルがバイク雑誌離れしていました。恐らく制作予算も。Web 55mphはそのウェブ版ということになるのですが、バイクブームと呼ばれた当時と比べるとかなり小規模な展開でした。でも、55mphというのは強...03Jun2025佐藤旅宇MOTOCOLUMN
【NEWS】執筆記事公開のご案内自動車・バイク専門メディア「Motor-Fan.jp」にて、当サイトの管理人、佐藤旅宇が執筆を担当した記事が公開されました。本記事は環境活動家/一般社団法人ユナイテッド グリーン代表理事の山田周生さんと共同で制作しました。山田さんはかつてフォトジャーナリストとしてパリ・ダカをはじめ、さまざまなアドベンチャースポーツを取材していました。往年のパリ・ダカファンなら一度ならずとも山田さんが撮影した写真を目にしている事かと思います。かくいう私も10代の頃に氏が撮影したパリ・ダカの写真(当然サハラ砂漠です)を見て、大きな衝撃を受けたひとりです。あれから30年後、まさかこのような形で一緒にお仕事をすることになるとは夢にも思いませんでした。▼ 記...02Jun2025